宮本英征「「真正な実践」のための歴史教材研究」
読む目的は「どうすれば「真正な実践」にすることができるのだろう」でした。
「真正な学び」だけでなく、宮本が定義する「市民的資質」の育成も射程に入れた内容でした。
以下自分なりのまとめです。
①歴史学者の著書や論文を、文章的・構造的・レトリック的という視点で読み解き、研究者の「真正な学び」を抽出する。(「文章的読解」→著者の章立て・小項目から設定された問いを読解、「構造的読解」→著者の概念的理解がどのように構築されているか読解、「レトリック的読解」→著者の研究方法を読解)
②歴史家の目的や価値観を反省的に分析するために、複数の歴史学者の学びで単元を構成する。
③歴史学者の学びに基づいて、発問を組織する。
④歴史に結びついた多様な価値観(≒イメージ)を分析させ、生徒自らが価値観を選択する学習活動を設定する。
論文のなかで「市民的資質」は以下のように定義されています。以下引用。
「(1)歴史に関する記述や語りには価値観が結びつく、そのため(2)私たちは歴史を学ぶことで無意識に他者の価値観に影響を受ける、その結果、(3)歴史に結びつく価値観を反省し、判断することで、生徒自身が歴史を記述したり語ったりできるようになるという資質である」
「藤原道長に返歌を送ろう」という単元が具体例として紹介されています。